ツール選びで最初に分けるべきは「観測」と「実行」
ヒートマップやA/Bテストのツールを比べるとき、機能表を横に並べても決め手が出てこないことがあります。理由は、これらのツールが本当は2つの別々の仕事をまとめて名乗っているからです。
- 観測:どこで読まれ、どこで止まり、どこで離脱したかを可視化する
- 実行:直す案をつくり、承認し、配信し、効いたかを判定する
観測だけのツール、観測と実行の両方を持つツール、実行に寄ったツールが混在しているので、「自社にいま足りないのはどちらか」を決めてから比べると、選択肢は一気に絞れます。
主要ツールの立ち位置(2026年9月時点)
Microsoft Clarity — 観測を無料で広く
ヒートマップとセッション記録を無料で提供する観測ツールです。まず「何が起きているか」を見るための入口として導入障壁が低く、他ツールと併用しても衝突しません。改善案の生成やA/Bテストの配信は担いません。詳しくはClarityの次にやることで扱っています。
Ptengine — 解析とノーコード実行が一体
公式サイトの説明では、ヒートマップなどの解析(Insight)と、ノーコードでのページ編集・A/Bテスト・リダイレクトテスト・ポップアップ等のWeb接客(Experience)を同じ画面から扱えます。A/Bテストの勝敗判定にはベイジアンのアルゴリズムを使い、蓄積データから最適なパターンを自動で出し分ける「AIスマート配信」も案内されています(出典: ptengine.jp/abtest・2026年9月閲覧)。
「観測から実行まで1つで完結させたい」「マーケター自身が画面を触って出し分けたい」という要件には素直に合います。一方で、BtoBで重要になる獲得したリードがその後どうなったか——商談につながる質だったのか——までは、ツールの外側(CRM側)で評価する設計になります。
ミエルカヒートマップ — 読まれ方の可視化と伴走支援
公式サイトでは、熟読・離脱・クリックの3種類のヒートマップと、ヒートマップデータをAIが自動解析して課題と改善案を提示する機能(β版として案内)、そしてカスタマーサクセスによるサポート体制が説明されています。A/Bテストも提供されますが、プランによって利用に制限があるとされています(出典: mieru-ca.com/heatmap・2026年9月閲覧)。
コンテンツの読まれ方を細かく見たい、社内に改善の経験が少なく伴走してほしい、という場合に検討しやすい立ち位置です。
VWO / AB Tasty — 統合して「Wingify」へ
2026年9月16日、VWOとAB TastyがWingifyという統一ブランドに統合されたことが発表されました。実験・パーソナライズ・行動分析・フィーチャーフラグを1つのデータ基盤に載せる方針が打ち出されています(出典: wingify.com/platform・2026-09-16 プレスリリース)。
大規模サイトで専任の実験チームを持ち、プロダクト側のリリース制御まで含めて統合したい組織に向いた方向性です。検討中の方は、ブランド名・製品名・契約条件が移行期にある点を前提に情報を取りにいってください。
比較表を作る前に、自分で埋めるべき3つの問い
機能の有無を並べるより、次の3つに答えるほうが選定は速く終わります。
- ① いま詰まっているのは「分からない」か「直せない」か:前者なら観測ツールの導入が先。後者ならツールを増やすより、案をつくって当てる工程を誰が回すかを先に決める
- ② 直す案を誰が書くのか:ノーコード編集ができても、書く人と承認する人がいなければ画面は変わらない
- ③ 成果を何で測るのか:BtoBではCVRだけを上げると商談化率が下がることがある。CVRと商談化率の両立で扱ったトレードオフを、選定の段階で指標に入れておく
CVDoctorはどこに置くツールか
CVDoctorは観測ツールの置き換えを狙っていません。担当するのは実行の側——フォームとLPの離脱要因をAIが診断し、改善案を生成し、人間が承認してからA/Bテストとして配信し、効果を判定するまでの一連の流れです。BtoBに寄せて設計しているため、CVRと同時にリード品質の側も見る前提になっています。
したがって、上に挙げたツールとの関係はこうなります。
- Clarityを入れている:見つけた課題を直す工程として併用できます
- Ptengineやミエルカを検討中:観測と簡易な出し分けを1つで完結させたいなら、そちらが素直です。「案を書いて承認して回す」ところが止まっているなら、CVDoctorが埋める部分です
- Wingify(VWO / AB Tasty)を検討中:専任チームで大規模に実験を回す体制があるなら、統合プラットフォームの方向と要件が合います
ツールを増やすほど改善が進むわけではありません。増やすべきなのは、「見つけた課題が、承認されて、本番に当たって、判定される」までの回転数です。
自社サイトのフォーム・LPで何が起きているかは、登録不要の無料サイト診断で確かめられます。ツールの比較検討に入る前の材料としてお使いください。
※本記事の他社情報は、2026年9月23日時点の各社公式ページおよび公式発表の記載に基づく要約です。機能・提供条件は変更されることがあります。最新の内容は各社の公式情報をご確認ください。
※「ミエルカ」は株式会社Faber Company、「Ptengine」は株式会社Ptmind、「Microsoft Clarity」は米国Microsoft Corporation、「VWO」はWingifyの商標または登録商標です。その他の社名・製品名は各社の商標または登録商標です。当社と各社との間に提携・後援関係はありません。